外科医として市中病院で主に消化器癌の治療を20年余おこなって参りました。

在宅診療医として働くようになった今、驚くくらい違和感なく働いている自分に気が付くことがあります。違う仕事をしている感覚というものがないのです。
それは何故なのか、自分なりに考えてみました。
もちろん、外科手術と訪問診療では実際に行う診療内容は異なります。
それでも、根っこにある、底を流れるもので変わらないものがあるのではないかと思うのです。
それは、その人が自分らしく、楽しく明るく、安心して、穏やかに人生を過ごせるように私ができることを行いたい、支えたい、という思いです。
この思いは昔から自分の中にあって、これからもあり続けるものです。
当院は「在宅」診療所と銘うっていますが、必ずしも在宅での治療を強いるものではありません。その人の「どう生きていきたいか」という考え、ご家族の思い、どのように治療や療養をしていくか一緒に考え、必要があれば地域の病院や訪問看護、ケアマネージャ、そのほか福祉に関わるあらゆる職種とも連携して、より良い選択ができるように支え、応援していく診療所でありたいと思っております。